コラム

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成年後見人による横領

 

 親族間のお金のことってルーズになりがちですよね?

かくいう私も高校時代に姉から借りた数千円をいまだに返しておりません。

やはり姉弟ということで甘えがあるのですね。

 

 ところで一定の親族間では、窃盗や横領等の犯罪行為を行っても、刑が免除されたり

告訴がないと公訴が出来ない「親族相盗例」という法律が刑法にはあります。

 

 しかし先日「成年後見人に、親族相盗例の適用はない」という最高裁の判決がありました。

この事件は、事故により意思の疎通が出来なくなった息子の「成年後見人」となった父親が息子の預金などから、930万円余りを横領し罪に問われたものでした。

 

 成年後見人は裁判所が選任する公的な性格を有するものであり、さらに本人が父親に対し注意をすることも出来ないのですから、当然の結果でしょうか。

 

 また、成年後見人が被成年後見人の財産を使い込む事例は、この2年ほどで550件ほどあり、そのほとんどの成年後見人が親族です。親族相盗例を認めると被成年後見人の財産保護のための後見制度の意味が薄れてしまうということもあるんでしょう。

 

 今回の判例の事件ですと、子供の財産だということもあり、横領という犯罪を犯すことについて、罪の意識のハードルが少し低かったのかもしれませんね。

 

 しかし成年後見監督人がいない場合、家庭裁判所が成年後見について指導、監督を行うので横領は必ず発覚します。

 

 法定後見制度では裁判所が後見人を選任する為、自分が最も信頼できる人物が後見人に選任されるとは限りません。不本意な人物が後見人に選任されることを避ける為に、任意後見制度というものもあります。

 

 任意後見制度とは、ご自身の意思がはっきりしている間に、弁護士や司法書士などの職業専門家やご自身が最も信頼できる方と任意後見契約を結ぶことによって、事故や認知症などでご自身の意思がはっきりしなくなった場合に契約のとおり財産管理を行ったり、ケアセンターとの契約を代理したり、といった手続を行わせる制度です。

 任意後見人を親族として後見監督人に司法書士などの職業専門家を選任、また任意後見人と後見監督人の両方を別の司法書士等に委任するといった方法も考えられます。

 

 また、ご自身の財産を信託銀行等に信託し、その元本や運用益を社会貢献のための公益活動に充当させる、公益信託制度などもあります。

 

 ご自身の財産を守る為、また親族を犯罪者にしない為にもこれらの制度のご利用を考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

2012年12月13日

司法書士 上岡 信介

 

相続に関するよくある質問