先日、葛飾区の男性が死後自宅を公園化するために2千万円を寄付するというニュースがありました。
人は自分の生活する社会や、地域に貢献したくなるものなのですね。
寄付以外にも社会に貢献する方法として「公益信託」というものがありますが皆さんご存知でしょうか?
信託と聞くと投資信託のような資産運用に関するものが頭に浮かぶ方も多いと思います。
確かに公益信託は「受託者に財産の運用を委託する」という点では投資信託と同じです。
しかし、その目的は大きく違い公益を目的としています。
また、公益を目的としているところで財団法人と似ていますが、財団法人は永続を目指し運営のための事務職員を要するなどの体制が必要であるのに対し、公益信託は財産の処分をもって信託を終了させることができ、また受託者である私企業に運営を任せることができます。
公益信託の流れは以下のようになります。
1、まず、皆さんと受託者(信託銀行等)との間で公益目的の具体的な選定、目的達成の為の方法など、契約について綿密に打ち合わせを行う。
2、受託者は引き受けの許可を主務官庁に申請し主務官庁が審査および許可を行います。
また主務官庁は、所管の公益信託の監督を行うほか、公益信託の事務処理につき検査をし、受託者に対して必要な処分を命ずることができます。
3、許可を受けた後、皆さんと受託者の間で公益信託契約を締結
4、信託管理人は、受託者の職務のうち重要な事項について承認を与えます。
5、運営委員会等は、公益目的の円滑な遂行のため受託者の諮問により、助成先の推薦および公益信託の事業の遂行について助言・勧告を行います。
6、受託者は、運営委員会等の助言・勧告に基づき、その公益信託の目的に沿った助成先に助成金を交付します。
7、受託者は、公益信託の計算期間ごとに信託管理人に信託財産状況報告書を提出し
毎事業年度終了後、3ヶ月以内に事業状況報告書などを主務官庁に提出します。
皆さんが公益信託を残すのに必要なお手続は、上記1の信託銀行等との打ち合わせ
及び3の公益信託契約の締結の2つだけです。
現在ある公益信託の目的としては
・東日本大震災や交通事故、ご病気などで両親を失った子供たちへの奨学金。
・医学などの研究に対する助成金。
・ボランティア団体への助成金。など
上記のような奨学金支給・教育振興・国際協力促進などを目的とするものが主流ですが、
近年では、まちづくりを目的とするものもあるそうです。
皆さんがお亡くなりになった後の世界の為に、皆さんの志と財産を残してみてはいかがでしょうか?
平成25年8月6日
司法書士 上岡 信介