みなさんは、「健康寿命」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
健康寿命とは、WHO(世界保健機関)が提唱した新しい指標で、平均寿命から、衰弱・病気・痴呆などによる介護期間を差し引いた寿命、つまり、介護が必要なく自立して元気に過ごせる期間を示す年齢のことをいいます。
厚労省が発表した2010年度の数字によれば、男性が70.42歳で、女性は73.62歳でありました。
これに対し、同年の平均寿命は男性79.55歳、女性が86.3歳。つまり、男性は9年余り、女性は約13年間、介護期間があることが分かりました。
健康寿命を都道府県別にみると、最長は男性が愛知(71.74年)、女性が静岡(75.32年)で、最も短かったのはそれぞれ青森(68.95年)と滋賀(72.37年)でありました。
また、厚生労働省は、生活習慣病の予防や心の健康など5分野53項目の目標を設定し、介護が必要なく自立して元気に過ごせる「健康寿命」を延ばす目標を初めて盛り込みました。これにより、がん予防や運動の促進、食生活など幅広い分野について改善を目指すとしています。
では、元気で健康にくらすためにはどうすれば良いでしょうか。
100歳を超えてなお現役でご活躍されている、聖路加国際病院の日野原先生もご自身のブログの中で次のように書かれています。
≪以下、聖路加国際病院の日野原先生のブログより≫
■健康長寿こそが望ましい
ただ長寿を望むのでなく、健康長寿こそが望ましいのです。今日本には100歳以上の長寿者は、全国民中4万5900人と言われますが、50年前はわずかに125人だったのです。そのうちの約8割は女性です。これら100歳以上の老人がみな元気であればよいのですが、寝たきりか高度の介助を受ける人が圧倒的に多いのです。
そこで健康長寿こそが望まれるのです。
WHO(世界保健機関)の調査では、日本人の健康長寿の年齢はアメリカその他の西洋の国々より長いのですが、しかし、もっと健康で長寿であるように生活習慣を改善することが勧められます。
■生活習慣改善には、まず禁煙
それにはまず禁煙と、アルコールは1日1合、ビール1缶、葡萄酒1杯くらいに制限することです。以上の中で、日本人にとって一番勧められるのは禁煙です。
たばこは肺がんを起こすほか、家族の方にも害を及ぼします。また、たばこは慢性の呼吸器疾患で、慢性閉塞性肺疾患といって、肺からの酸素の吸収量が減り、肺気腫などを伴い、息切れがし、肺からの喀痰が増え、肺炎を起こしやすくなります。
食べ物としては、食塩の摂り過ぎで胃がんを起こします。食べ物の中の繊維質が減ると大腸がんになりやすいのです。脂肪を取りすぎると、メタボリック症候群といって糖尿病や肥満症、乳がんや動脈硬化を起こしやすくなります。
野菜は十分にとり、ビタミンA 、B 、C 、E なども十分とること。緑や赤い野菜も十分とるべきで、サラダはブロッコリーなどビタミンBに富むものを十分取ってほしいものです。
■総カロリーにも注意
若い人は成長に必要なカロリーがいりますが、40歳以上の成人は30歳の時の体重と腹囲を超えないように、50歳以上は歳とともにカロリーを少しずつ減らすべきです。75歳以上になると、腹7分目というのが適量です。
■生活に張りもって、精神的若さを
年をとった人に必要なことは、自分は老人だと思って生活に張りがなくならないようにすることです。年をとった人は、もっと精神的に若くなるように、何かの趣味とか、学習とかボランティアの仕事を探して気持ちを活発にするよう努力してほしいのです。「もう75歳の老人だ」と言わずに「まだ75歳の若さ」というようにして、精神的若さを持つことをお勧めします。
「健康寿命」を伸ばすためには、食事や生活習慣を改善し、適度な運動を継続して行い、そして、何よりも心と体のバランスが大事なようです。
平成24年7月10日
司法書士 尹 炳泰