葬儀費用は誰が負担するのか?
今回は、葬儀費用について書きたいと思います。
一般的に葬儀費用は、喪主あるいは近親者で協議して分担方法を決めるので、そんなことが問題になるのかとお考えになるかと思います。
しかし、家族間に争いがあったり、親族関係が複雑であったりする場合には葬儀費用の負担について争いになることが少なくありません。
また、葬儀費用の問題だけではなく、葬儀の方式や進め方について合意することができない場合もあります。
「こんな立派な葬儀をお兄ちゃんだけで勝手に決めて。まさか葬儀費用をお父さんの遺産から払おうとしていないでしょうね?」
「香典があるだろう?まずは香典を充てて、足らない部分は喪主が負担するべきだ。」
などと、葬儀費用をきっかけにして、相続財産を巡る争いに進展することもあります。
葬儀費用の負担について、法律上明確に定めた規定はありません。
①喪主が負担する。
②相続人が共同して負担する。
③相続財産から支出する。
④その地方の慣習によって定める。
と色々な見解がありますが、
まずは香典を葬式費用に充て、香典で葬儀費用が賄えないのであれば相続財産から負担し、それでも足りない部分は相続人が相続分に応じて負担すべきものであるという考え方が妥当ではないでしょうか。
他の相続人や関係者の意見をまったく聞かずに、事実上1人で葬儀を取り仕切った喪主に対して、葬儀費用の全額の負担を命じた判例もあるので注意が必要です。
葬儀費用の負担については、未だ確定的な見解がありませんが、そもそも、このような問題は、親族が事前によく協議していれば防ぐことがきるものです。
葬儀の方法や規模、進め方については事前に親族で相談して決めていくというのが無難です。
また、葬儀の費用は圧倒的に葬儀後数日での支払いをお願いしているところが多いようです。
自らの葬儀に関して、その費用負担も含めて予め契約をしておくというのも良い方法かと思います。
平成24年7月19日
司法書士 尹 炳泰