在日韓国人の「相続」については韓国民法が適用されます。被相続人だけが韓国籍で、相続人がすべて帰化し日本国籍を取得していても、その相続は韓国民法によります。韓国民法の規定によって、相続人の範囲や法定相続分などが決められています。
韓国民法は、相続の順位として、第1順位を直系卑属(子や孫)、第2順位を直系尊属(父母や祖父母)、第3順位を兄弟姉妹、第4順位を4親等以内の傍系血族と定めています。被相続人の配偶者(夫または妻)は、第1順位の直系卑属が相続人となるとき、および第2順位の直系尊属が相続人となるときには、その相続人と同順位で共同相続人になります。
第1順位と第2順位の相続人がいないときは、配偶者のみが単独相続人となります(この点は日本相続法と大きく異なります)。
今回のケースでは、被相続人の配偶者である母と、あなたが共同相続人となります。
配偶者の法定相続分は、第1順位の場合には子の相続分の5割増しとなり、第2順位の場合には、直系尊属の相続分の5割を加算した割合となります。
今回のケースでは、被相続人の配偶者である母の相続分が5分の3、あなたの相続分が5分の2の割合となります。
なお、戸主承継者や嫁いだ女子も相続分は同一です。また、遺言による場合や共同相続人全員の協議により遺産が分割される場合には、法定相続分と違った内容で相続することもできます。
在日韓国人である被相続人の遺産が日本以外の国にもある場合には、相続税の計算は、それぞれの遺産の所在する国における相続税法によって課税されます。相続そのものは韓国民法に準拠し、税金は各遺産の所在地国の税法によって計算します。
日本の相続税は、居住者であった被相続人につき原則として全世界の遺産を課税対象とする一方、韓国の相続税法では海外同胞の場合には韓国国内遺産のみを課税対象とします。
そして、相続税額の計算の結果、納税が生じる場合には、それぞれの国において納税義務が発生します。その際、それぞれの国によって課税対象範囲(当該国外遺産を含むか否か)が異なりますが、ある財産について2国間の二重課税が生じた場合には、税額控除の規定を適用し、二重課税部分を控除したあとの税額を納付することになります。
在日韓国人の相続手続は、日本人の相続手続と必要書類が異なります。
在日韓国・朝鮮人の方の、遺産分割(相続手続)に必要な書類は下記のとおりです。
※ 必要書類を揃えることができないとき(在日韓国・朝鮮籍の方で、身分関係が整理されていなく、戸籍謄本を取得しても法定相続人が特定できない場合や、戸籍謄本自体が取得できない場合について)は、別途ご相談ください。